なぜ増えているのか
人口の増減は、生まれた人・亡くなった人(自然増減)と、入ってきた人・出ていった人 (社会増減)に分けられます。大村市はこの2つが逆を向いています。
自然増減は2020年にマイナスへ、 増加を支えているのは転入超過だけ
2001年は出生1,003人・死亡616人で自然増+387人でした。2024年は出生814人・死亡1,052人で自然増減−238人。 出生は−189人、死亡は+436人です。自然増減が初めてマイナスになったのは2020年(−12人)でした。
- 社会増減(転入−転出)
- 自然増減(出生−死亡)
社会増減は2024年に+1,274人で、この24年で最大です(転入5,386人・転出4,112人)。 市の人口ビジョンは社会増の要因として水陸機動連隊の配備(2024年3月配備)による1,200人を挙げています。増減の中身で見たとおり、富の原1丁目では2024年3月と4月に男性だけが約300人増え、世帯はほとんど 増えていません。時期は一致しますが、どの部隊がどこに入ったかを示す一次資料は 確かめていないため、同じものだと断定はできません。
来ているのは、ほとんど長崎県内から
転入超過を相手先で分けると、2021年〜2025年の合計(年ごとの内訳は2012年から)で全体+2,882人のうち県内から+3,911人、 県外へは−1,029人です。県内から集めて、県外へ出ていくという形が14年続いています。
来ている先(転入超過の上位)
- 佐世保市+1,014
- 長崎市+1,006
- 諫早市+733
- 島原市+148
- 川棚町+128
- 対馬市+123
- 長与町+111
- 壱岐市+85
出ていく先(転出超過の上位)
- 福岡市−455
- 東京都特別区部−238
- 石垣市−111
- 中央区−100
- 博多区−93
- 南区−88
年齢で分けると構造がはっきりします。10代は毎年マイナス(14年合計−1,113人)で、進学や就職で出ていきます。一方で30代(+2,042人)と 0〜9歳(+1,699人)は毎年プラス。子育て世帯が入ってくることで成り立っている市です。
| 年齢層 | 14年の転入超過 | 向き |
|---|---|---|
| 0-9歳 | +1,699 | 毎年プラス |
| 10-19歳 | −1,113 | 毎年マイナス |
| 20-29歳 | +64 | 年による |
| 30-39歳 | +2,042 | 毎年プラス |
| 40-49歳 | +1,054 | 年による |
| 50-59歳 | +808 | 毎年プラス |
| 60+歳 | +1,673 | 毎年プラス |
総務省「住民基本台帳人口移動報告 参考表(転入・転出市区町村別結果)」。国内移動のみで、国外との移動は含まない。相手先の一部は「その他の市町村」に合算されるが(転入の14〜18%・転出の16〜20%)、長崎県内の相手先はほぼ全て個別に載っている。
減り始めた分を打ち消しているのは外国人
住民基本台帳人口を日本人と外国人に分けると、日本人は2025年2月の98,988人を最大に−660人、同じ期間に外国人は+96人です。総数の減り方が緩いのは外国人が増えているからで、日本人だけを見れば減り方はもっと急です。
2002年は356人、2015年に284人まで減り、そこから2025年の799人へ2.8倍になっています。
高齢化率は1985年の10.8%から2025年の26.6%へ
65歳以上の割合は40年で15.8ポイント上がりました。0〜14歳の割合は24.1%から15.5%へ下がっています。人口が増え続けている市でも、中身は入れ替わっています。
2025年の年齢不詳は1,265人(総数97,678人のうち)。国勢調査では年齢不詳が出るため、分母をどう取るかで割合が変わります。 ここでは年齢不詳を分母から除いています。
長崎県内で増えている市町は2つだけ
2015年10月1日 → 2025年10月1日の10年で、県計は−10.4%です。21市町のうち増えたのは大村市(+5.3%)と佐々町(+0.7%)だけでした。
| 市町 | 2015年10月 | 2025年10月 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 大村市 | 92,757 | 97,678 | +5.3% |
| 佐々町 | 13,626 | 13,723 | +0.7% |
| 時津町 | 29,804 | 28,768 | −3.5% |
| 諫早市 | 138,078 | 130,355 | −5.6% |
| 波佐見町 | 14,891 | 13,780 | −7.5% |
| 長与町 | 42,548 | 38,722 | −9.0% |
| 郡部計 | 145,512 | 131,837 | −9.4% |
| 長崎県計 | 1,377,187 | 1,234,361 | −10.4% |
| 市部計 | 1,231,675 | 1,102,524 | −10.5% |
| 長崎市 | 429,508 | 383,418 | −10.7% |
| 佐世保市 | 255,439 | 226,803 | −11.2% |
| 島原市 | 45,436 | 40,246 | −11.4% |
| 川棚町 | 14,067 | 12,304 | −12.5% |
| 雲仙市 | 44,115 | 38,497 | −12.7% |
| 東彼杵町 | 8,298 | 7,222 | −13.0% |
| 五島市 | 37,327 | 31,292 | −16.2% |
| 平戸市 | 31,920 | 26,296 | −17.6% |
| 西海市 | 28,691 | 23,640 | −17.6% |
| 松浦市 | 23,309 | 19,120 | −18.0% |
| 壱岐市 | 27,103 | 22,195 | −18.1% |
| 南島原市 | 46,535 | 37,651 | −19.1% |
| 対馬市 | 31,457 | 25,333 | −19.5% |
| 小値賀町 | 2,560 | 2,007 | −21.6% |
| 新上五島町 | 19,718 | 15,311 | −22.4% |
長崎県「毎月の推計人口(異動人口集計表)」。県計と21市町。大村市の値は市の公表する推計人口と同一系列であることを確認済み。
子どもの数は校区でまったく違う
小学校の児童数は2005年から2024年で市全体はほぼ横ばいですが、学校ごとに見ると 正反対の動きをしています。児童数は町丁の若年層の先行指標として使えます。
増えた小学校
- 竹松703 → 1,111+58%
- 福重267 → 391+46%
- 黒木14 → 19+36%
- 三城489 → 559+14%
- 富の原733 → 833+14%
減った小学校
- 松原162 → 83-49%
- 萱瀬116 → 69-41%
- 中央484 → 337-30%
- 東大村40 → 29-28%
- 鈴田209 → 160-23%
大村市「おおむらの統計」小学校別児童数・中学校別生徒数(原典: 長崎県教育委員会)(各年5月1日)。学校別合計=公表の総数であることを20年×小中の40通りすべてで確認済み。通学区域は町丁と1対1ではなく、27件が「一部」「〜を除く」で分割されている。町名から校区を機械的に決めることはできない。
国の推計では2025年がピーク、2050年に85,005人
ここまでは実績です。ここから先は推計で、実績とは性質が違います。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年をピークに減少に転じ、2050年は85,005人(-10.9%)。人口が1割減る一方で、75歳以上は+7,323人増えます(11,819人 → 19,142人)。
| 年 | 総人口 | 0〜14歳 | 15〜64歳 | 75歳以上 | 高齢化率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 95,397 | 14,995 | 56,017 | 11,819 | 25.6% |
| 2025年 | 95,852 | 14,335 | 55,208 | 14,189 | 27.4% |
| 2030年 | 94,602 | 13,181 | 53,905 | 16,098 | 29.1% |
| 2035年 | 92,817 | 12,161 | 52,007 | 17,139 | 30.9% |
| 2040年 | 90,556 | 11,711 | 48,491 | 17,601 | 33.5% |
| 2045年 | 87,977 | 11,374 | 45,364 | 17,987 | 35.5% |
| 2050年 | 85,005 | 10,883 | 42,723 | 19,142 | 36.9% |
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」。2020年国勢調査を基準にした推計であって、実績でも市の目標でもない。基準年の95,397人は国勢調査の確定値と一致する。
ただし実績はこの推計を上回っています。 推計の2025年は95,852人ですが、 実際の推計人口は2025年10月で97,678人でした。 この推計は下振れの側として読むのが妥当です。
市の見通しと実績
市の人口ビジョンは3つのケースを置いています。施策を織り込んだケースウは2025年に100,109人で、10万人到達を見込んでいました。実際の推計人口は2025年10月で97,678人です(差は−2,431人)。
| ケース | 2020年 | 2025年 | 2040年 | 2060年 |
|---|---|---|---|---|
| ア 社人研準拠(2013年推計) | 91,583 | 91,051 | 87,076 | 76,937 |
| イ 社人研準拠(2018年推計) | 95,397 | 95,688 | 92,271 | 80,780 |
| ウ 市の施策を織り込んだ推計 | 95,397 | 100,109 | 98,654 | 88,608 |
ケースウが置いている条件:
- ・出生率を2025年までに2.00へ
- ・新工業団地(2019年4月分譲開始)と既存工業団地の拡大で+1,500人
- ・西九州新幹線を活かしたまちづくり(2022年9月開業)で+900人
- ・水陸機動連隊の配備(2024年3月配備)で+1,200人
- ・市の移住支援施策で+100人
- ・2030年にさらに+500人
大村市人口ビジョン(策定2015年12月・更新2022年9月)。市の独自推計であり実績ではない。ケースウには市の施策効果が織り込まれている。 基準は令和2年国勢調査人口 95,397人(推計人口の系列)のため、住民基本台帳人口(2026年7月末 99,208人)と 直接比べることはできません。